1:カフェにどんなミッションを与えるか“いかにも”じゃない、気づきのあるカフェ「酒蔵が行うカフェというのは、どういうものなのか?」議論のスタートはそこでした。酒粕や麹をたくさん使った料理なのか?そんな(集客目的特化の) ”いかにも" を好まないのが伊東家9代目伊東優さん。そこには、何かしらの反骨精神もあったかもしれませんが、“カフェがもたらす気付きや影響”を信じ実践する方が意味のあることだ、と考えられていたのだと思います。そこで伊東さんが醸しているお酒『敷嶋』について振り返ります。コンセプトは、敷嶋にしか出せない味で「食」の時間の価値をあげる。それは、食をさらに美味しくし、なおかつ ”普段使い" してほしいという想いです。ペアリングをもっと身近にするたどり着いたのは、【ペアリングをもっと身近なものにする】というミッション。ペアリングというと ”一人単価数万円の高級店だけの専売特許”のようなニュアンスがありそうですが、そんなんじゃない。ちゃぶ台での小料理と安酒でもいいしもっというとケーキとコーヒーの組み合わせでもいい。「食」と「飲」の共鳴作業です。ペアリングを思いのまま翻訳してみるさてペアリングを、そしてそれをライトに伝える事は決まりました。そこで、ペアリングについて考えます。口の中で「混ざる」? いや違う。口の中で「重なる」? これもちょっと違う。「にじみあう」翻訳作業としてはこれが一番しっくりきます。味の波がうちよせ、にじみあって、色鮮やかに香りたち広がっていく。虹の波(にじみ)。こんな当て字にしてみるのも日本語ならではのオシャレです。歴史背景ともマッチする副作用アイデアというのは、ひび割れのように、ひとつ亀裂をつくると、どんどん次の亀裂がでてきます。この亀崎という地で、酒を話すに切り離せないのは、海(海運)についてです。酒という重量物を運ぶ際の、かつての主要インフラは海であり、海(海運)なくしては、知多半島の酒の繁栄はありえなかったのです。さざ波が見える、昔の船乗りの目線もカフェにふんわりと載っかりました。↑敷嶋のラベルが見える、かつての港湾風景2:“にじみ”の実践ペアリング前菜メニューを考案してくださったのは、同じ敷地内にレストランを営む”gnaw”さん。”ペアリング前菜を挟む“ というとても素晴らしい構成を考えてくださいました。ペアリング前菜とは面白いモノで、ペアリングを楽しむものであると同時に、これから始まる料理の前に、味覚、舌覚、唇覚、それら“味わうための全感覚”を集中させ、解放してくれる役割もあったのです。やはり食事というのは“味わうことに集中すること”でよりよい良い時間になるものです。建物内装|(旧)しぼり場の活用建物は、庭に面した元々“しぼり場” であったスペースを活用しました。伊東さんのその場所でのお気に入りは、床に市松状にならぶ、淡い色の青と白のタイルでした。確かに、そういった淡い色のレトロは、やすらぎ効果があるようです。それがヒノキの材と共鳴し、とても涼やかな場所になりました。「あ〜美味しい」と、そんな小さな声が多くの方から漏れてくる、“にじむ”場所になっていってもらえたら幸いです。